2012年9月8日土曜日

身心一如




禅の言葉、「身心一如」。。。「しんじんいちにょ」とは、心の安定が身体のバランスと整え病を遠ざけることを言います。この教えをビジネスの世界に落とし込むとどうなるでしょうか?今日は「身心一如」について考えてみたいと思います。


「仕事だからがんばるのは当り前」はそうかも知れませんが、やる気になれない状態でいくら筋論を押し通しても成果があがるわけではないでしょう。仕事をしていれば良いってものではなく、結果を出すのが目的ですから、効率良く求める結果を出すことが大切です。そこで効率のいい結果を出そうして、プロセスを軽視するとうまくいかないことに注意してみてください。

 日頃から私たちは「生産性」という課題と向き合っていますが、生産性がなぜ重要かというと、収益の問題でだけでははなく、仕事を進める上での因果関係が生産性に凝縮されているからです。つまり収益は、プロセスがあって結果があることを語っているのです。

 プロセスには「どうすればモチベーションがあがるか」という問題もあります。モチベーションを高めるには、魅力的な目標も重要なひとつです。目標の難易度と達成感の強さのバランスが良くないとモチベーションも高くなりません。そこで、やる気が起こる目標を設定する上で欠かすことのできない ラダー効果、 オプション効果、スポットライト効果、サンクス効果について説明します。

 ラダー効果は、とても重要なひとつで、私は日頃から、これなしに人は育たないと思っています。実際、過去に私は1000人以上の人と直接関わり、数え切れないマネジャーを育ててきましたが、いつ会っても、彼ら自身が当時を懐かしみ口を揃えて話題にします。それだけ心に入ったと言えます。「ラダー効果」とは日頃追いかけている数値目標より「上位に位置する目標」のことです。

「誰の役に立つのか?」「社会的な影響は?」などその仕事の意味とも言えます。仕事を単なる行為(Do)で捉えるのではなく、その意味とのつながりを見出すことで、自分の在り方(Be)として捉えることで、取り組む姿勢も前向きになり、行動が変わります。意識して訓練すれば、この思考は身につけることができ、上手に使うと、モチベーションをコントロールできます。それを「ラダー効果」を呼んでいます。
 販売に携わる者には、プロスポーツ選手なみに考えながら行動すること、そして緊張が要求されます。しかしプロスポーツ選手のように、「ストーブリーグ」というものがありません。ずっと緊張が連続しています。やってもやっても、これで良いということがない終わりのないレースです。ずっと同じことを繰り返していると、「自分はなんのためにこんなつらいことをしているのか」と疑問が湧いてきます。真面目に目標に取り組んでいる者ほどそう思います。つらいことは誰にもつらい。なにも感じない者は普段から緊張感のない者です。頑張っている者ほど、耐えているのです。その忍耐に一刻も早くサポートの手を差しのべることが必要なのです。


 真剣に取り組んでいれば、成績があがると、次の月には落ちてしまうちうようなことが起こります。緊張が続かず自分で休憩してしまうのです。目標に届いていなくても、前年比をカバーしていると、「まあいいか」というように妥協が起こります。そこで上位管理者が同じように休憩を認めているようだと、屋台骨が崩れてしまいます。

 プロ野球の名監督と言われる人にもそういう人物がいて、前年よりいいポジションで終わったかと思うと翌年には、前年より落とす。その翌年には、戻して返り咲く。これを繰り返していると、うまくしのげるのだそうです。それもひとつの処世術ですが、伸び盛りのマネジャーがこんなことをしていると、覇気がなくなってしまい40代にもなると使いモノにならなくなります。

 こうしたことを防ぐには、数値目標だけでなく、より上位の目標、つまり抽象的な目標が効果を発揮します。抽象的な目標はその名の通りとらえどころなく、その効果を頭から考えない人が少なくありませんが、それは間違いです。先に述べたように、それなしに人は育たないと断言できます。

 考えないと説明する力もつかないので、いつまで経っても、抽象的な目標はないままになるので、やがてモチベーションは息切れして、最後にはやる気がありそうなことを言ってその場をしのぐごまかす技術だけが身につきます。しかし数字は正直に状態を示します。

 抽象化をすると、売る仕事は、お客さまに喜んでもらう仕事で、人を助ける仕事だというように誇りが持てるようになります。さらには仕事を通して幸福な社会を作るというような使命感が体験を通して育ってきます。使命感が苦しい局面を乗り越え自分と部下を育てる原動力になります。この循環が正常に行われるようになると会社の風土もそのようになり、風土が個人を励まします。

 マネジャーが、部下の感じる範囲の仕事の捉え方を変えるアプローチを繰り返すことで、仕事への取り組み方も変わり、その結果、成果も格段に変わって来るのです。

 いまの世は離陸率が高いと言われますが、目先の目標をただ追わせるようなことをしていると、いくら採用してもすぐに辞めてしまいます。うるさいからがんばっているという自分にも周囲にも嘘をついた状態では、それだけで疲れてしまい、モチベーションが高くなることもなく、「うつ」の原因にもなり、いい仕事はできないのです。

禅の「身心一如」。。。「しんじんいちにょ」とは、心の安定が身体のバランスと整え病を遠ざけることを言います。規則正しい生活は心の安定から始まります。

数値目標より高い次元に「自分たちの在り方」を目標設定することで、ラダー効果を引き出し、ストレスが少なくやりがいのある日々を創造すると、「身心一如」は実現できます。






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