2011年11月14日月曜日
幸福生産性
あらゆる分野で、すでに使い物にならなくなったやり方に執着して沈んで行く一方の会社がたくさんあります。このような会社は変化を嫌い、状況をコントロールしようとしますが、人間にはできることとできないことがあります。どんな場合でも、誰でもコントロールできるのは自分自身だけです。コントロールできないことに時間を費やす愚行をしないで、自分を変化させることに積極的になる必要があります。そして変化について考えるとき、行動するとき、注意したいことがあります。
私たちは、複雑化する経済、高度に専門分化の進んだ時代を生きています。サブプライムローンが示すように、複雑さの代表である金融機関のようにIQが高くないと利益をあげるのが難しい時代になっています。
しかし仕事とは、働くとは、そんなにも複雑で難しいことなのでしょうか? もっとシンプルに考えてみましょう。
ビジネスの原型は、物々交換です。たとえば魚を採るのが得意な人と、鳥を捕るのが得意な人の聞で、魚と鳥を交換する。やがて物々交換では不便なので、お金を媒介にして交換するようになりましたが、原始の時代から本質は変わっていません。
自分の得意分野を活かして、誰かが必要としている物を作ったり、誰かに喜んでもらえることをしたりして、その対価を受け取る。つまり「幸せの交換ごっこ」がビジネスの本来の姿です。
たったそれだけのシンプルなことが年々、どんどんと複雑になるのは、利益を得る方法が複雑化しているだけで、人間を幸せにするために複雑化しているわけではありません。全く違う次元のことを同じ次元で考えるため、混乱してしまうのです。
ギスギスするばかりの近年と比べて「昭和は良かった」という人が増えています。それはモノがなくお金もなかった分、「幸せの交換ごっこ」がシンプルで分かりやすかったからです。
それがどんどん複雑化して行く原因は、利益の計算方法に発見できます。
売上ー費用=利益です。では売上と費用はなぜ同じではないのでしょうか?同じでは利益が出ないからですが、ではどうして買う人は費用より多くのお金を払うのでしょう。買う人が費用以上の価値を認めるからです。つまり利益とは「あなたを応援します、頑張ってくださいね」という共感、人の気持ちなのです。つまり利益が出ないとは、価値を認めてもらっていないからです。
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【参考資料】
2007年に価値をインターネット上でやって驚かせたのがイギリスの大物バンド、レディオヘッドです。彼らは自分たちの新作アルバムをネットで公開、払っていいと思う金額を自由に支払ってくれたらいいという<Pay as You Wjsh>方式に打って出たのです。その結果、180万人がダウンロード、60%が支払いをしませんでしたが、40%が平均2.26ドル支払いました。興味深いのは、通常CDショップで買うよりも多く支払った人が数多くいたことで、その中に100ドル払った人もいたことです。その結果、通常の何層もの仲買業者を通じて販売したよりも多くの収益を得ることに成功し、さらに1年後の次回作ではCD,ダウンロード合わせて300万枚という記録的ヒットを実現。ダウンロード販売がCD販売の足を引っ張った形跡もなかったのです。(出所:「スマート・プライシング」)
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価値とは、人の幸せことなのです。しかし人を幸せにするには利益が必要です。利益がないと食べることが出来ず、生きていけないからです。つまり利益は人を幸せにするために欠かせないエネルギーなのです。
生きるのに必死から始まった昭和のある時点まではこれがスムーズに機能していたのです。ところがモノが行き渡ると変わってきました。価値のないものを売るために、複雑にして価値があるように見せかけて売る。それがバレたために起こったのが、日本のバブルであり、アメリカ発の「金融危機」であり、さらに露骨な行動が中国の海賊まがいの領海侵犯とその後の対応です。現象は違いますが「奪い取れ」という根本の思想は同じなのです。
価値を創り出せなくなり、手っ取り早く利益を得るために「奪い取る」ようになったのです。そのしわ寄せを真っ先に受けたのが、若い人や高齢者たちなのです。奪い取られた弱者は犯罪に走り世の中はますます混乱、ニューヨーク・ウォール街で起こった格差への抗議デモはその最たる事例です。
なぜ、「幸せの交換ごっこ」が大切なのか分っていただけたでしょうか?
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【参考参考】
Apple社の創業者でありCEOのスティーブ・ジョブス氏が亡くなったとき、ユーザの心情を察知したメディアが次々と「ありがとう、スティーブ」という特集を組み、彼を語った書籍はことごとくベストセラーになっています。世界の人々から尊敬され、愛されるのは、「相手を負かすのではない、勝つためには自分が価値ある仕事をしなければならない。」の言葉通り、価値ある仕事に没頭したからです。その言葉の通り、悪評を恐れずに、断行したのです。
ここがとても重要だと思います。
彼の遺言のようになった(スタンフォー ド大学の卒業式でのスピーチで卒業生に贈った言葉)「ハングリーであれ、愚かであれ」という言葉が世界中で共感を得ていますが、その意味は「価値を創造する人間であれ、決して本物の盗賊になるな」ということではなかったのかと思うのです。
ITであっても、豆腐屋さんであっても、職種や立場に関係なく、「困難であっても、あきらめずに乗り越えて、価値を創造する人間になれ、決してするい人間になるな」と言いたかったのではないでしょうか?
2005年のスタンフォー ド大学の卒業式での、歴史に名を残す伝説のスピーチがYOU TUBEで聴けます。
【以下、YOU TUBE 資料】必見です。
検索文章
アップル CEO スティーブ・ジョブス 演説 スピーチ ノーカット版
NHKクローズアップ現代「世界を変えた男 スティーブ・ジョブズの素顔」
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多くの企業や店が、言葉では顧客満足やお客様第一を掲げますが、その実際は、お客様にいかに多くのお金を支払わせるかが最大の関心事になっていて、お客様を一人の人間というよりは「収入源」として見ており、ONE to ONEでは「財布」として扱っている場合が少なくありません。
お客様を財布の厚みで分類して、攻略方法を考える、「買わせる」という言葉が普通に使われ、接し方も変えます。法律に触れないギリギリのところで、財布を開けさせるように誘導する。その延長に悪質な客引きがあります。こうした考え方は短期的には、合理的で効率的なかも知れませんが、お互いに感動や共感もなく信頼関係も築けません。
結局、感動も、共感も、信頼関係もない世界では、価格だけが判断基準になり、お客様はより安い価格を提示したところで購入するようになり、売り手は価格競争に陥って、我慢比べで自分の首を絞めることになります。
さらに信頼関係が構築できていないと、お互いが疑心暗鬼になり、なにかひとつのサービスを受けるにしても、価格を調べるために無駄に時聞と新しいテクノロジーを使って満足します。
このような負のスパイラルから脱出する方法はたたひとつだけです。
自分の喜びがお客様の喜びであり、お客様の喜びが自分の喜びになる行きかたです。お客様と共に素晴らしい人生を創造するパートナーになるというやり方です。
どうすればパートナーになれるのか、利用する人の感じ方で変わりますが、利用する人の感じ方が違う原因はたとえば接客力の違いに影響されますが、その違いはどのようにして起こっているのか、次のような階層になるのではないでしょうか。

1)商品・サービス
2)技術・知識
3)考え方・価値観
4)BE(存在のあり方あるいは何者か?)
この内、他者に見えるのは、1)と2)です。 <技術・知識>だけあっても、ほとんど何も作れないし、サービスすらできません。たとえ作ったにしても人の心に届くものは作れません。つまり売れない。売れたにしても、良いものと何でもいいを使い分ける2極化した賢明な生活者の状況に適した判断で便利よく使われるだけです。
売れるけれど利益は出ないという状況に押しやられてしまう。サービスだって同じでマニュアル程度のことしかできないのです。
<技術・知識>を支えているのは、何を美しいと思うか、何を大事にしているか、何を持って善しとするのかという基準となる尺度があってはじめて<技術・知識>は生かされます。つまり<考え方・価値観>があることで、どの方向に何のために力を発揮するのかという道筋が出来るのです。
さらに<考え方・価値観>を動かしている<BE(存在のあり方)>という見えないけれど、最も重要な階層があります。BEとは、Be You、Be Happy、 be the best you can be(なれる最高の自分になる) のBEです。
<BE(存在のあり方あるいは何者か?)>とは、どんな風に働いているのか、どんな風に生きているのか、毎日の暮らしで何を信じ、恐れ、喜び、悲しみ、怒り、聴いたり、話しているのか、態度や姿勢のこと。いってみればこれこそが本心です。
<考え方・価値観>は言葉で伝えることができますが、<BE(存在のあり方あるいは何者か?)>については、その道のプロを除けば、ほとんど言葉にすることは困難です。だからと言ってないわけではなく、誰にでも必ずあります。ほとんどの場合、ドキドキする、楽しい、腹がたつというように感情で表すのが精一杯で、アサーティブであることのバックボーンです。BE(存在のあり方)に気がつかない限り溌剌とした人生を過ごすことも、コミュニケーションもできない。自分とのコミュニケーションが不全のまま、他者とコミュニケーションできるはずがないからです。
本心から離れた価値観に基づいた商品やサービスが売れるはずがないのです。いわゆるコンセプトとは、本心から発したものでありたい。たとえば私たちが仕事と呼んでいるのは、この3つの階層全体であり、人はその全体を感じ取っている、つまり仕事シーンでのお客はこの全体と取引しているのです。安いとか、便利だとかいう理由だけが買う場合の原因ではないのです。言い換えれば買ってもらえるというのは、人間力や仕事力を提供している売り手に向けた共感や敬意の表明なのです。
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【参考参考】
50年間ずっと増収増益を続けている伊那食品という寒天を売る会社があります。この会社はお客様、従業員、仕入れ先などからいい会社と思ってもらえるようにガンバっていて、その結果として50年もずっと増収増益を続けています。
また相変わらず好調なディズニーランドではスタッフは肩肘張ってお客様を幸せにしようとやっているわけではありませんが、お客様は幸せそうにディズニーランドを体験しています。
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昔からお客さまは、店か、人か、価格・販促につくといわれます。このうちもっとも誇れるのは、店です。人につくのが一番のように見えますが、それは早計です。その人には自慢であっても、大事なことが抜けています。なぜなら自分と同じように、ひとりひとりが店の代表として、みんなができるようにすることがお客さまにとって最も大切なのです。自分が転勤しても、関係なく継続来店していただけるようにすることがリーダーとなる人の仕事ぶりなのです。
お客様と共に素晴らしい人生を創造することを考えれば、お客様と過ごす時間をもっと楽しいものにしょうと思います。自分のメリットのために相手のデメリットは考え見ないというギスギスとした関係はなくなります。お互いが幸せになるにはどうしたらいいかを共に考える時間を増やすことができ、さらに多くの価値を生み出すことができます。
ところが、これはメーカーと下請けの関係でなくなったことのひとつです。その事例からしても、「うまくいくとは思えない」という人がいるでしょう。「そんなきれいごとは夢だ」と思う人も少なくないでしょう。「現実のビジネスはそんなに単純ではない!と思う人いるでしょう。その上「自分にはそんな立派な価値は創造できない」「私は取るに足らないつまらない人間だ」と思う人がいるかも知れませんが、人は誰でも、人を笑顔に幸せにする乙とができます。
人は誰しも祝福された素晴らしい存在なのです。他者と比較する必要などありません。私たちは物心がついたころから試験の点数で順位づけされてきたので、どうしても劣等感を覚えがちです。しかし誰にでも、大切な誰かに喜んでもらった経験はあるはずです。それこそが価値創造の原点です。学歴や試験の点数など関係なく人は素晴らしい存在なのです。
しかし、自分の素晴らしさを認識できず、根性を歪めている人もいます。もったいないことです。しかも昔から日本では謙遜が美徳とされているので、自分を素晴らしい存在だと認めることに抵抗のある人も少なくありません。それにしても自分を卑下し自分をつまらない人間だと思うことと、謙虚さは全く異なります。自分を素晴らしい存在だと信じられるから、なにごとにも謙虚に感謝できるようになれるのです。逆に素晴らしい存在だと信じていない人ほど、謙虚になれないのが実際です。
私たちは業績をあげるために「何をすべきか」という点を重視しがちですが、DOよりBEがずっと大切な場合があります。何をするのかのDOではなく、どうありたいのかのBEなのです。実はほとんどの場合、BEが大切なのです。BEがしっかりしていないとDOをいくらやっても効率が悪いのです。つまりデタラメな人間がいくらいい販促をしてもいい成果をあげることはできません。逆に人を心から大切にする者が大した販促でしかなくても、心のこもった交流をすることでお客様の心を動かして大きな成果をあげることは少なくありません。
そこで一時、感動サービスが流行しましたが、ほとんどうまくいきませんでした。結局形ばかりの心ない言葉だけ感動のサービスしかできなかったからです。
このようなサービスはひとりひとりの人間力によって初めて可能になります。つまり生計を立てながら、人間力を高めないとできないのです。それを実現するのは学習力です。学習力が競争力なのです。だから学習しない人は何者にもなれず、存在価値が薄くなります。それは負の伝搬となり何代にも受け継がれ不幸が続きます。これこそが最大の問題であり、解決するべき課題です。その突破口になるのが幸福生産性を追求するビジネスです。
どうか誤解しないでください。私はもっと売るためにお客様に親切にしないさいと言ってるわけではありません。お客様を幸せにするのが私たちの仕事だと言いたいのです。自分の良い面を成長させながら生計を立てていくことを望んでいるのです。もっともっと素晴らしい人間になるためにお客様をもっともっと幸せにしようと言っているのです。
人と人の間で生きるから人間と言います。自分たちになるとは、人を幸せにする人間になろうという意味です。自分たちは、人を幸せにして、同じように自分たちも幸せになる人のことなのです。それを図にしたのが次のものです。
今日現在、そうでない人もいるでしょう。そういう人も含めて人を幸せにする人になってほしいのです。奪うことに躍起になっている者が多い現在、それは簡単なことだとは思いません。そういう時代だから、マートワンはそうしたいのです。私どもがかかわる会社さまは、お客様や取引先から応援したいと思っていただける会社にしたいのです。
そのためには、ひとりひとりが、何が本物の幸福なのか、まずしっかり意識する。その上でじぶん力を育み、肯定感、自己効力感を身につけて、個人が幸福になる。PDCAを回転させる力をつける。その力をリーダーシップにしてチームワークの原動力にしてチームそのものを幸せにするのです。
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