人間には、内側の力と外側の力があります。
外側の力とは、肩書き、資格、専門スキルなど他者が評価した力です。時と場所の範囲限定的な力です。
内側の力は他者の目に触れにくい力ですが、世界中で使えて生涯役にたつ力です。
災害が起こったときに、損な役割を主体的に引き受ける力は、内側の力を使います。
ビジネスの世界にも、内側の力と外側の力があります。
外側の力とは、販促力。「なにをするか」がテーマになります。アイデアを駆使していろんなプロモーションが打てます。人間の外側の力と同じで評価しやすいものです。お客さまにも分ちやすい分、競争相手にも分ります。つまり真似しやすいので追随が簡単という弱点があり、競争優位のポジションをいつ明け渡すか分らない脆弱さがあります。
内側の力は、風土に近いもので「なにを持っているか」がテーマになります。こちらは外から分りません。企業の中にいても、人によっては分らないでしょう。勤める会社をいくつか経験した上で、客観的に分析、評価する力があれば理解も深まるでしょうが、それでも難しい場合があります。内部の人にも分らないくらいですから競争相手にも理解が困難です。その分、強い力を持っていると、競争優位のポジションを長く獲得できる可能性が高くなります。
多数の力を合わせても、内側の力と外側の力には、明らかな差が生じるわけですから、個人レベルになるとますます明らかです。
外側の力を引き上げる目標設定をするのは簡単です。しかし内側の力を引き上げる目標は設定そのものが難しいものです。目標そのものが曖昧な表現しかできないからです。目標が曖昧だとなにをしたらいいのかも難しくなります。
そのときに「因果関係」が役立ちます。どのような要素がかみ合うと、目標に到達するのかプランできます。
仕事、趣味、異性、時間とお金の使い方、モラル、行動基準が主たる因果要因になるでしょう。これが目標に到達する方向にまとまっていなくて、バラバラなら、それぞれの要因で努力しても、目標には到達しません。
たとえば、将来は自分の店を持って苦難があっても、楽しく働きたいと考えている人が、公務員と結婚したいと考えている女性に熱をあげていたらどうでしょう?将来変わる可能性がないわけではありませんが、夫と力を合わせて商売するのが希望の女性と交際するほうが目標を叶える上で有望です。
時間の使い方も同じです。暇があればパチンコをして暮らすのと、商売の勉強をするのでは、結果は明白です。
このように、目標から逆算して、必要な要因を適正化して、それぞれの要因を満たすことで、因果関係で結んだときに、目標が自然に叶う状態にする。これが競争優位に立つ必須条件なのです。
このプロセスで必ず生じるのが、あちら立てれば、こちら立たずなのです。ほとんどの人はバカではありません。しかしバカでないから落とし穴に落ちてしまうのです。あるひとつの事象だけを見たら正解だけで、それを組み合わせると不正解になることは少なくありません。ファッションはその典型でしょう。色の組み合わせがその見本です。あるひとつの事象だけを見たら非合理だが、組み合わせてトータルで見たら合理的ということが多いのです。
限られた時間と労力で迅速に答えを出すことが必要な震災支援では、これがとても重要になります。全体を見渡し判断するリーダーのマネジメント力が重要になります。
郵政が大赤字を出していて実際には破綻状態にあるのはその典型です。民営化以降、利益を出し多額の納税をしていたのが、いまでは税金で穴埋めをしなくてはならない逆転状態に陥ったのは、某大臣がある一点だけを取り上げて損失が生じていると、マスコミも巻き込んでネガティブキャンペーンを張った結果です。このようになにが正しくて、なにが間違っているのか、自分の暮らしをよく観察してみることが大切なのです。
外側だけでは分らない、内側の力。ビジュアルにするのが難しいものを、ビジュアルの時代にあって、きっちり見分ける力・・・・・因果関係を読み取って見極める眼力も、想像力も内側の力の産物です。
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